Renovation41 M様邸
純和風平屋のM様邸。南側の環境が良い二間続きの和室を使っていないことを以前からもったいなく思っていたM様。現在お母さまが生活されていますが、ゆくゆくは子供世代が受け継いぐことを思うと、我が家の和風建築の良さを生かしつつ、これから先もより良く生活できる住まいを願いリノベーションを決意されました。南側に日当たりの良い暖かいリビングを作ることによって、暮らしやすい生活動線となり、M様ご希望の和モダンLDKを叶えることができました。
キッチンは回遊型なので、キッチンで共に作業する時も動きが妨げられることがありません。また対面キッチンにカウンターを設置しているので、食事の持ち運びもスムーズでコンパクト
南北にLDKを設け、すりガラスをはめ込んだすっきりとした格子の建具。閉めるとキッチンダイニングに。そして、格子の建具を開放すると、一気に明るい開けた空間になります。
建具はやわらかい光を届け、寒いとき、暖かい時と、開け閉めの調整も思いのまま。とても便利な日本人の知恵です。またカウンターと建具は全てオーダーで製作。タモ無垢材の木の香りが家に漂います。
床には赤茶色の木肌が柔らかく、少しアンティークな雰囲気も感じさせる無垢マカボニーを使いました。巾木も同じものを使うことによって自然なまとまり感を大切にしました。
床板を全て無垢マカボニーで統一。無垢材だからこそ、冬暖かくて、夏は涼しい快適な環境づくりを大切に何よりも素材にこだわりました。
暗くなりがちな廊下に自然に光が差し込むようにクリアガラスをはめ込んだドアもタモ無垢材で仕上げました。
キッチンの壁面に大谷石という天然石をはめ込み、落ち着いた中にも個性的なアクセントをつけました。無垢の黄白色が上品さと清潔感を、天然石だけが持つ自然の模様が、ナチュラルでありながら気品を引き出し、和風モダンなキッチンになりました。
とても美しい襖絵。そして今では珍しい欄間。こちらはもともとM様のお宅にあったもの。あらためて日本の美がシンプルであること。また木と共に暮らし通風を大切にした住まいであることを思います。
床の優しい赤茶色が、襖の建具の色合いとマッチして、さらに美しさを引き立てているように思います。あらためてリノベーションの良さとは、既存のものを美しく見せるということだと感じます。
そして、クロスは、壁はクリーム系、天井はグレーで統一しています。あえて壁と天井のクロスの色をかえることで、部屋が引き締められ、キッチンの壁面に使用した天然石の色合いとマッチして、広い空間が一つにまとまりました。
リビングダイニングで生活することの多いお母さまになるべく近い生活動線で動きやすくと願い、近い距離でトイレやお風呂に行けるように、以前は物入であった壁を取り、ドアをつけ、キッチンダイニングから洗面スペースに一直線に行ける動線を作りました。日々を暮らす居心地の良さ、快適な空間づくりは、間取りの配置が重要です。
キッチン・ダイニング・トイレの動線を短くして暮らしやすく。
贅沢な広さを感じる玄関の廊下。日本家屋ならではの上がり框も趣があります。こちらも既存の形を残したままで使いやすさも考えて、横に大型の物入を設置。こちらはリビングの物入と同じ素材とデザインでまとめました。取っ手はバータイプで開けやすくなっています。
既存の目隠しも壁色に朱色のクロスを貼り替えアクセントをつけました。
床の間であった場所に戸袋を設置。また扉を開くと仏壇があり、普段は目立たないように扉を設置。
玄関を開けた時、見える中庭も風情があります。お客様をお招きする心を感じる玄関です。
キッチンのペンダントライトはダウンライトと合わせて、極力デザイン性をシンプルに。こちらのセードはアルミ鋳物に鋳メッキを施し、点灯時は鋳肌が光をひろい、内面がきらめきます。
シルバーの鋳物と大谷石の壁面の調和。素材と質感にこだわった和モダンの空間。
《before》
《after》※施工対象は、塗りつぶされた部屋です